三平方の定理は本当にピタゴラスが発見した?名前の由来と歴史
もくじ(7)
直角三角形で、
a²+b²=c²
という関係を使う三平方の定理。
英語では Pythagorean theorem と呼ばれ、ピタゴラスの名前が付いています。
それでは、三平方の定理を最初に発見したのはピタゴラスなのでしょうか。
結論から言うと、「ピタゴラスが最初にこの関係を発見した」と断定するのは難しいです。
ピタゴラスより前の計算資料が残っている
古代メソポタミアの粘土板には、ピタゴラスよりはるか前の時代に、直角三角形の辺に関係する計算が行われていたことを示す資料があります。
たとえば、古バビロニア時代の粘土板には、辺と対角線から残りの長さを求める計算や、現在「ピタゴラス数」と呼ばれる数の組に関係する記録があります。
有名な 3,4,5 なら、
3²+4²=9+16=25=5²
です。
このような関係が、ピタゴラスの時代より前から計算に使われていたことは分かっています。
では、なぜ「ピタゴラスの定理」なの?
ピタゴラスは紀元前6世紀ごろの古代ギリシャの人物で、彼の周りには数学や哲学を研究する集団がありました。
後のギリシャの伝統の中で、この定理やその証明がピタゴラス、またはピタゴラス派と結び付けられました。
ただし、当時の資料が十分に残っているわけではないため、本人がどの形で発見・証明したのかははっきりしません。
数学史では、
- 特定の数で関係を知っていた
- 一般的な形として理解していた
- いつでも成り立つことを証明した
を分けて考える必要があります。
「同じ計算を知っていた」と「現在の定理として証明していた」は、まったく同じ意味ではありません。
ユークリッドの『原論』には証明がある
ピタゴラスより後の古代ギリシャでまとめられたユークリッドの『原論』には、現在の三平方の定理に当たる命題と証明が収められています。
三平方の定理には、その後も非常に多くの証明方法が考えられてきました。
図形の面積を並べ替えるものなど、中学生でも見て分かりやすい証明もあります。
「なぜ証明が必要なの?」と感じる人は、中2数学の証明がわからない人へを読むと、計算と証明の違いも整理できます。
中3で習う三平方の定理に戻ってみよう
歴史は少し複雑ですが、中3で使う内容はシンプルです。
直角三角形で、直角をはさむ2辺をa、b、斜辺をcとすると、
a²+b²=c²
が成り立ちます。
ここで一番大切なのは、cが必ず斜辺になることです。
斜辺は、直角の向かい側にある一番長い辺です。
三平方の定理の基本的な使い方は、三平方の定理がわからない中3へで詳しく解説しています。
3-4-5だけではない
整数だけで三平方の関係が成り立つ組を、ピタゴラス数と呼びます。
たとえば、
5²+12²=25+144=169=13²
なので、5、12、13もその一つです。
一方、辺が整数にならない場合もあります。
一辺1の正方形を半分にすると、直角三角形の2辺は1と1です。
対角線xは、
x²=1²+1²=2
なので、
x=√2
になります。
この関係は、√2はなぜ割り切れない?で紹介した無理数にもつながっています。
「誰が考えた?」から数学を見直すと面白い
学校では完成した公式だけを見るため、数学は「誰かが決めたルール」に見えることがあります。
しかし三平方の定理のように、同じ関係が異なる時代や地域で扱われてきた例を見ると、数学は目の前の図形や数にある規則を見つけ、説明するために発展してきたことが分かります。
歴史の人名を覚える必要はありませんが、「名前が付いている人=必ず最初の発見者」とは限らない、という点は数学史を見るときに覚えておくとよいでしょう。
まとめ
三平方の定理はピタゴラスの名前で知られていますが、同じ数の関係に関する計算は、彼より前の古代バビロニアの資料にも見られます。
そのため、ピタゴラス一人が最初に発見したと単純に言い切ることはできません。
ただ、中3数学で大切なのは歴史の暗記ではなく、直角三角形を見たときに
a²+b²=c²
を正しく使えることです。歴史を入口にして、最後はぜひ1問計算してみてください。
ますっちで、今日の1つから。
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