因数分解は誰が考えた?中学生が習う「式を分ける」考え方の歴史
もくじ(7)
中3で習う因数分解では、
x²+5x+6=(x+2)(x+3)
のように、足し算でできた式を掛け算の形へ直します。
授業では公式から始まるので、「こんな計算を最初に考えたのは誰?」と気になる人もいるかもしれません。
結論からいうと、因数分解には「この人が発明した」と言える一人の発明者はいません。今の因数分解は、方程式を解く方法や代数学の記号が何百年、何千年とかけて発展する中で形づくられてきました。
因数分解は昔から今の形だったわけではない
現代なら、
x²+5x+6
と短く書けます。
しかし、昔の数学では今のような x や ²、= を使わず、問題や計算を文章で説明する時代が長くありました。
そのため、「古代の数学者が今と同じ因数分解の公式を書いた」と考えるのは正確ではありません。
ただし、二次方程式にあたる問題や、面積を使って未知の長さを求める考え方は古くから研究されていました。そこから代数学の計算方法が少しずつ整理されていきます。
代数学の歴史で重要なアル=フワーリズミ
9世紀ごろ、数学者アル=フワーリズミは、一次方程式や二次方程式の解き方を体系的にまとめた著作を書きました。
この著作名に含まれる al-jabr が、現在の英語の algebra(代数学) という言葉のもとになったことで知られています。
ただし、アル=フワーリズミ自身が現代の記号を使って
x²+5x+6=(x+2)(x+3)
と書いていたわけではありません。当時の計算は主に言葉で表現されていました。
「アル=フワーリズミが因数分解を発明した」と言い切るより、現在の因数分解につながる代数学を大きく発展させた重要人物の一人と考えるのがよいでしょう。
記号が整って、今の因数分解に近づいた
代数学はその後も、さまざまな地域の数学者によって発展しました。
未知数やべき乗を表す方法が整理され、式を記号で短く書けるようになると、展開や因数分解の関係も今のように扱いやすくなります。
私たちは学校で完成した形だけを学びますが、その背景には「複雑な計算をどう簡単に表すか」という長い工夫があります。
中学数学の因数分解は「展開の逆」
歴史から授業へ戻りましょう。
たとえば、
(x+2)(x+3)
を展開すると、
x²+5x+6
です。
逆に、
x²+5x+6
を
(x+2)(x+3)
へ戻すのが因数分解です。
だから、因数分解だけを別の計算として覚えるより、展開と行ったり来たりできるようにすると理解しやすくなります。
詳しい解き方は、展開と因数分解がわからない中3へで基礎から確認できます。
なぜ因数分解を習うの?
「式をわざわざ分けて何に使うの?」と思うかもしれません。
因数分解すると、二次方程式を解きやすくなったり、大きな数の計算を簡単にできたりします。
たとえば、
51²-49²
はそれぞれ2乗して引かなくても、
(51+49)(51-49)
=100×2
=200
と計算できます。
因数分解は、式を難しくするためではなく、扱いやすい掛け算の形へ変える道具でもあります。
末尾が5の2乗を簡単に計算する方法も、展開の考え方とつながっています。95²を暗算で計算する方法も読むと、公式が実際の計算でどう役立つか分かります。
1問だけ因数分解してみよう
x²+7x+12
を因数分解してみます。
掛けて12、足して7になる2つの数は3と4なので、
x²+7x+12=(x+3)(x+4)
です。
豆知識を読んだあとに1問だけでも手を動かすと、「歴史の話」と「学校の数学」がつながります。
まとめ
因数分解は、一人の数学者がある日突然発明したものではありません。古くから続く方程式の研究や、アル=フワーリズミらによる代数学の発展、さらに数学記号の整備が重なって、現在の形になりました。
歴史を暗記する必要はありません。ただ、「式を扱いやすくするために、長い時間をかけて整理されてきた考え方」と知ると、因数分解の公式も少し違って見えるかもしれません。
ますっちの中学数学学習では、因数分解を公式だけでなく、展開とのつながりから学べます。
ますっちで、今日の1つから。
無料ではじめる